今さらではありますが、”山の雷は怖い” の検証

ヤマケイ8月号の「実践!山の天気入門」は、”山の雷”、そこで参考例に挙げられていた”2008年7月28日”は、ちょうど、”(雷)エライ目に遭った・・”として以前に書いた、大喰岳-中岳の3,000m稜線上で雷雲に捕まって身動き取れず、1.5時間うずくまった後、ホウホウの体で飛騨乗越から下った時だ・・・そのヤマケイ記事を参考に回顧的に振り返りつつ、その時の状況を検証してみよう、今後のために・・・

もう、2度とあんな怖い思いはゴメンだからね・・・

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寒冷前線と積乱雲の発達の図解

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<天気図>
前日の2008.7.27 12時の天気図です
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太平洋上に高気圧があります
前線は日本列島の上に、北ア上空は高気圧支配下のように見えますが、
西から東へゆっくりと前線移動と共に、寒気もやってきています
夕方頃には、槍ヶ岳山頂で雷雲発生、鉄梯子がジージー音を立てる中を山荘に逃げ込んだ直後に大雨が来ました
その後、嵐は去り、再び晴れて夕焼けが出たので、その時は通り雨かと思っていましたが・・・

自分でも、その時は次のように書いています
「初日の一時的な嵐が去った後、風でチリを吹き去ったのか、遠くまで見通せて、展望と夕焼けが見映えがして見事でした 双六・黒部五郎方面に太陽が傾いていき、見事な夕焼けのパノラマ・ショウが始まりました・・・」

実は、そうではなかったんですね

梅雨前線付近に沿って、日本列島を横切る帯状の雲域 → 上昇気流 → 積乱雲の発生 →降水・雷の予兆



続いて、2008.7.28 9時の天気図です
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前日(27日)より、前線の位置が少し南にあるようです
ちょうど、北ア上空は、積乱雲発生の直下(3,000mなので、積乱雲の真っ只中)に入っていたようです

そうとは知らず、曇りだとばかり思っていました

これは、梅雨前線の南側に重たい寒気が流入することで、暖かい空気が持ち上げられ、積乱雲発生・発達するということ

前線を伴わない小さな低気圧が発達した時は、その南東側は東側で、特に雷雨に警戒が必要
夕立と違い、時刻に関係なく落雷が発生するそうです

実際、28日は、朝6時過ぎには曇りでしたが、稜線を南下するうちに、雷鳴が聞こえ始めました



衛星雲画像です
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これと上の天気から、台湾付近にある台風が、暖かく湿った空気が流れ込むため、
前線が活発化・刺激を与えている状況が判ります


2008.7.28 15時の天気図です
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上の9時の天気図とあまり変わっていないことが判ります
3,000m稜線で、いくら待っても雷が通り過ぎなかった訳です



2年が経って、ヤマケイの記事をきっかけに、やっとその時の気象状況が判りました
正直、槍ヶ岳山荘の気象モニタにレーダー画像が映っていても、こんな状況だったことは判らなかったでしょうが、今後の気象判断の参考になったのではないかと思いましたね




上のようなことはつゆ知らずに書いた、当時の自分の記事を参考に・・・
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2008.7.28記事

そろそろ、「エライ目に遭った_2」 について....

2日目の7/28日は、朝からガスで、今朝の槍登頂はやめて南に向かうことにした。
一応、雨具の上下とザックカバーを着けて、カメラはザックの中に仕舞った。

小屋を出た時はガスだけだったので、予定通り、進むことにした。
大喰岳(3,101m)を越す頃に、ポツリと雨が始まり、雷も鳴り出した。
未だ、6時少し過ぎたばかりなのに・・・また、雷・・・

しかし、こんな稜線で雷では堪りません、中岳へ向かうコルを走って下りたところで近くで雷鳴、もう、こうなったら身を隠すしかありません。
が、ここは稜線上、さて困った・・・
稜線を東に数m降りた雪渓の端に身の丈位の高さの岩が目に入った。
そこに二人でうずくまった・・・

時計の秒針を見つめ、雷光の後の雷鳴までの時間を計る。
1秒、2秒・・・・10秒で雷鳴、ということは約3km、
間隔が段々短くなってくる・・・
しまいに2秒未満で雷鳴、ますます身を小さくしてうずくまる・・・

雷鳴が遠ざかるように思えるも、直ぐに次の雷雲がやってくるようで、少しも納まらない
「参ったな・・・」
「・・・このまま南岳には行けそうに無いので、飛騨乗越まで戻ろう」
「しかし、もう一度、大喰岳の山頂を越えないと・・・」
「雷がもう少しおさまったら、戻ろう・・・」

しかし、
そのうち、雨にあられが混じってきた・風も強くなってきた

稜線を東側に退避したのは正解だったようだ。風は西から吹いている。
「30分待ってみよう・・・」
しかし、状況が好転する気配は無い。
足が痺れてきた・・・(寒くて)ガタが出てきた

でも、立ち上がる訳には行かない

結局、1時間が過ぎても良くなるどころか、雷鳴はひっきりなしに聞こえる
1時間20分が過ぎた頃、もう、足の痺れと寒さのガタは堪らなくなってきた
秒を数えるのもしんどくなってきた
雷鳴はするが、雷光は途絶えているようだ

もう今しかない・・・身を低くしたまま、稜線を駆け上がる・・・
身を隠すモノが何にも無い大喰岳の山頂は、できる限り早く通過するしかない

1時間20分もじっとうずくまっていた後、3,101mの標高での朝の全力疾走は、正直、きつかった
途中で1回転んだ
ラッキーなことに、山頂通過時には雷光が無かった

ヘロヘロ&息も絶え絶えで飛騨乗越まで戻った
未だ安心はできない
雷鳴がまた近くで鳴っている

だが、後は下るだけ、と思えば大分気が楽だ・・・

飛騨沢を下り、標高2,700m辺りまで下ると、雲の下に出てきたようだ
やっと、ひと安心・・・・

<<教訓>>
・ツェルトは、どんな時も持っていこう (今回、出発直前に車の中に置いて来た)
・実用になるAMラジオは持っていこう (今回、ラジオ付の無線機を持って行ったが、AMラジオの感度が悪く、雷センサーとして役に立たなかった)
・ポケットには、飴など直ぐに出せるものを入れておこう (雷退避中は、ザックから荷物を出す余裕など全く無いので)




この記事へのコメント

2010年07月21日 10:05
これからは雷様の大暴れするシーズンですね、心して歩かなければいけません、大変参考になりました。
2010年07月21日 12:44
 雷は本当に怖いですよねー。
特に今の時期は危ないので、山に行かないのが一番で~す。(笑)
やばそうな雲は無かったのに、いきなり墜ちて軽く感電したことが
あるので、一層注意深くなりました。桑原桑原……。

 とはいえ、涼しい山の上に思いを寄せる今日この頃です。
本当に暑いっ!!。
HAMA
2010年07月21日 22:17
soreiyuさん、ようこそ・お越し頂きありがとうございます
特に夏場は雷発生・遭遇の機会が多い時期ですね、雷さんとは仲良くなりたくないものです(笑)
遭遇した際の身の守り方を知っておくだけではなく、出掛ける際の心構えとしてその日は発生しそうな天気かどうか気に留めておくだけでも、逃げ場を無くす状況に陥るのが少しでも避けられるのではないかなぁ、と思いました
HAMA
2010年07月21日 22:28
ファーマー佐藤さん、本当に暑いですね・・山のてっぺんは気持ちがいいので好きですが、晴天のヘキレキみたいにいきなり来るヤツは危ないですね、一件以来、山頂に登った時は落雷から隠れるところがあるかどうか、キョロキョロする癖がつきました
それにしても、山上で頭を抱えてウンチングスタイル(四つん這いは体内に電流が流れて危ないと聞いたので、靴以外を地面につけない)を長いこと続けることの困難さがよく判りました(笑)

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